大災難P.T.A.なクリスマス

By fuki - 1月 03, 2020

Planes, Trains and Automobiles(邦題:大災難P.T.A.)という映画を知っているだろうか。
80年代のコメディ映画で、サンクスギビング休暇にNYマンハッタンからシカゴの家族の元へ向かうサラリーマンが道中出会う明るいドジなセールスマンに巻き込まれて数々の災難に遭う、シカゴまでの遠くて困難な道のりを描いたロードムービーとヒューマンドラマ。
今回のクリスマスはそれに似たことが起きた。

アメリカのクリスマスは日本で言うお正月と似ている。
クリスマスイブは翌日のクリスマスに備えてお店や銀行が閉まるから食材を買い込んだりATMが混雑したりまるで大晦日のドタバタぶり。そしてクリスマス当日は街は静まりかえり自宅で家族で過ごす。
若い家族は親夫婦の元へ子供達を連れて行き、子供たちはいとこ同士で遊んで、オーブンからはローストチキンが焼かれ、プレゼントがあったり....まさに日本のお正月って感じだ。ボルダーのダウンタウンへ行くと多くのお店はしまっているが、ホテルやホテルに付属するバーなどは開いている。選択肢は少ないのでホテルのバーは大盛況。

私と相方はボルダーの創立110年の老舗ホテル、ホテルボルドラードのバーで乾杯していた。
バーで隣り合わせになったカップルと意気投合してお喋りしたり、クリスマスはいつも家にいるか旅行しているので今年はちょっと違う気分を楽しんだ。

私の横に立っていたおじいさんが突然声をかけた。
「ちょっと君、ノンアルコールのビールでなんとかって銘柄のを探してるんだけどなんて言うのか思い出せないんだ。悪いけどGoogleで調べてもらえんかね?」
私はスマホのデータ契約の上限が近くなってたので、店の人に彼の質問に答えてあげてと言った。
店の人「うちで扱ってるのはこれだけです。あとは他の店で聞いてみてください」
おじいさん「うーん、確か17stにあったバーにはあったと思うんだけどね。。。」
私「じゃぁそこ行ったらいいじゃない」
おじいさん「店の名前が思い出せんのだよ」
相方「ラッフィングゴート」じゃないか?
おじいさん「そうだ、きっとそこだ」
そういっておじいさんは消えた。

お酒の続きを飲んで、私と相方はバーを出る前にトイレを使って、出てくると相方はおじいさんにつかまっていた。
相方「車のキーを入れたまんま締め出しちゃったみたいで家に帰れないと言うんだ。家はうちから割と近いみたいだから送ってやろうと言うことになったんだけど」
私の脳裏に大災難P.T.A.のストーリーがチラついた。

相方「車のキーがないってことは家のキーも一緒にないんじゃないのか?」
おじいさん「あぁ。。。そうだ。でも家のキーは家の周りに隠してるはずだから多分大丈夫」
相方「街にいた方がいいんじゃないの?どうしても家に帰りたいと言うなら乗ってもいいけど、そこから先は知らないよ。入れなかったら隣近所の人にでも助けてもらって。」

おじいさんは車の中で身の上話を始めた。
奥さんに先立たれ、子供は他州に住んでいて彼は南ボルダーに一人暮らし。...なんか寂しいな、と同情した。

家について、彼は車を出た。キーを探しに行く前に、「ちょっとだけ待っててくれんかね、あるかどうかわからないから」と一言。
私「これって。。しまいにはうちに連れてってくれって言い出すんじゃないの!?」
相方「それはできれば避けたいなぁ。。。明日は結婚式だし。準備も終わってないし。」
しばらくしておじいさんが手に何かを持って車に戻ってきた。
相方「見つかったみたいだね」
おじいさん「んー、、どうだろう。。」
相方「どれどれ」
それはキーを隠すための小さなケースだった。ケースを開けると家のキーのようなものが入っていた。
おじいさん「んー。。。試してみるか。」そう言って車のドアを閉めないまま試しに行った。
これはもうすぐにでも車に戻ってくる気満々の証である。私たちはドアを閉め、おじいさんの無事を祈りつつその場を離れた。

翌々日相方はジムに行ったときに偶然おじいさんの家の近くに住んでいた知り合いからその話の続きを聞いた。
彼の家におじいさんが訪ねてきて、奥さんがインターホンをとった。家に入れないから泊めて欲しいと言うことだった。奥さんはクリスマスの夜に見知らぬ人を泊める気分がしなかったので追い返す代わりにUberを呼んで彼をダウンタウンに送り返した。どうも有名なおじいさんみたいで、寂しくなると人にとっつきまわることで知られているらしい。

クリスマスやサンクスギビングは暖かい家で家族と幸せに過ごす大切な日。だからこそ、家族がいない人にとっては寂しさが倍増する。日本でもイブの夜は自殺する独り者の人がいるとか聞くがこのケースは寂しさのあまり人にすがりついて寂しさを埋めようとする。人見知りしないアメリカ人だからこその国民性が現れるが、それでも自殺するよりはいいかもしれない。大災難P.T.A.はサンクスギビングに独り者の男が繰り広げるちょっと笑えて泣ける惨劇を描いたもの。

ホリデーシーズンに観たくなる楽しい映画です



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